金山と言えば、中国の人々で知らない者はいない。中国神話の伝説『白蛇伝』には、白素貞(白娘子)が金山に水とともに迫り夫を救う物語があるが、それはこの土地で起こったとされる。言い伝えによると、ある白蛇が修業を積み、美しくて善良な人間の娘、白娘子と姿を変えた。許仙という青年に嫁いだ彼女は、とても満ち足りた日々を過ごしていた。ところがある日、金山寺の和尚である法海は、彼女が白蛇であることを見抜いてしまう。許仙のもとへ出家を説きに行った彼は、許仙を騙して寺に閉じ込めてしまった。それ知った白娘子は、同じく蛇から人間へと姿を変えた侍女である小青と共に刺しゅう入りの靴を脱ぎ、長江に投げ浮かべて舟として、海の水を逆流させた。水はあっという間に金山寺に轟轟と押しよせ、エビやカニの群れが兵となり、一斉に金山へと攻め込んだ。法海はあわてて袈裟を脱ぎ、堤に化け、大波と化して押し寄せる海水を堤の外に押し出した。結局、白娘子は勝利を得ることができず、侍女の青蛇とともに退却し、訓練を積みながら復讐の機会をうかがった。その後、許仙は寺を抜け出すものの、法海は法術を用いて今度は白娘子を西湖雷峰塔の下に封じてしまう。しかし、青蛇が塔を襲い、白娘子と一緒に法海を攻撃し、とうとう彼をカニの腹の中にまで押しやった。こうして再び白娘子と許仙はともに仲睦まじく生活を送ることができた。このような言い伝えにより、「水漫金山」(金山を水に浸す)は長い間歌い継がれる俚諺となり、津々浦々に知れ渡り、金山もその名が天下に轟くこととなったのである。
金山は鎮江市街地の北西に位置し、その高さは44メートル、外周は520メートルで、市中心部まで3キロほどである。山には金山という名の寺がある。金山寺の建立は東晋の時代に始まった。その立地をうまく利用し、山と寺とが一体になる設計をとっている。境内の主要な建築としては、天王殿、大雄宝殿、観音閣、蔵経楼などがあり、古跡としては慈寿塔、法海洞、妙高台、楞伽台、留雲亭などが残っている。